GAKUMON JOURNAL / 子どもの話を聞く
子どもの話を聞くとき、すぐに答えを出さない関わり
すぐに答えなくても、
一緒に考えることはできる。

「今日、もう遊びたくなくなった」。帰宅した子どもの一言に、「何があったの?」「こうすればよかったんじゃない?」と続けたくなることがあります。気になるからこそ、早く力になりたい。その気持ち自体を、無理に抑え込む必要はありません。
ただ、子どもが今ほしいものは、解決方法とは限りません。出来事を話したいのか、悔しかった気持ちを聞いてほしいのか、誰かに間に入ってほしいのか。答えを考える前に、どこを手伝ってほしいのかを一緒に確かめる。ここでは、そのための聞き方を考えます。
ことばの前に、耳を傾ける
何があったか。どう感じたか。
この後、どうしたいか。
次の会話は、ガクモン編集部が作成した説明例です。友だちと遊び方が合わなかった日の親子を想定しています。実際の子どもの発言や活動記録ではありません。
最初の言葉だけで、結論を決めない
子ども「みんな、全然聞いてくれなかった」
大人「聞いてもらえなかったと感じたんだね。どんなときだった?」

気持ちの名前を、こちらで決めすぎない
大人「そのとき、どんな気持ちだった?」
子ども「怒ったというより、がっかりした」
大人には怒っているように見えても、本人の言葉は違うことがあります。「悔しかった?」と尋ねた後に「違う」と返ってきたら、言い直してくれたことを受け止めます。
言葉が続かないときは、質問を重ねず少し間を置く。「まだうまく言えない」も、その時点の答えです。目を合わせることや、きれいに説明することを条件にしなくて大丈夫です。

聞いてほしいのか、手伝ってほしいのか
大人「今は話を聞いてほしい? それとも、次にどうするか一緒に考えたい?」
子ども「明日も同じだったら、どう言えばいいか考えたい」
選べなければ、今すぐ選ばなくてかまいません。「まず聞いてほしい。それから考えたい」という順番もあります。大人の助けを受けることと、自分で考えることは、どちらか一方ではありません。
話が入り組んできたら、「起きたこと」「そのときの気持ち」「これからの希望」を小さなメモに分ける方法もあります。メモを完成させるのが目的ではなく、お互いが同じ話をしているか確かめるためのものです。

次の一歩を、小さくする
大人「『最後まで話してもいい?』と伝えるのはどうかな。ほかの言い方も考えてみる?」
子ども「先に、ぼくの案も聞いてって言ってみたい」
大人の案は、従わせる答えではなく候補として出します。本人が使えそうな言葉に変えたり、家で一度言ってみたりする。その小さな準備まで一緒にできれば、会話を立派な結論で閉じなくても十分です。
自分だけでは難しいときは、先生など身近な大人への相談も選択肢です。「まず一人で解決してから」と突き放さず、どこを誰に伝えるかを一緒に整理します。
いつも、すぐに聞けなくても
夕食の支度、仕事の連絡、きょうだいの世話。話したい時間と、聞ける時間が重ならない日もあります。毎回落ち着いて対応できることを、親の合格条件にしなくてよいと思います。
大人の手が離せない
「今、この鍋を片づけたら聞くね」と、待ってほしい理由と話せる区切りを伝える。そして、こちらから「さっきの続き、聞いてもいい?」と戻ります。もし約束どおりにできなかったら、そのことも短く伝え直します。
子どもが話したくない
「今は話したくないんだね。後で話したくなったら聞くよ」と入口を残します。黙っている理由を一つに決めず、食事や休息などいつもの生活を一緒に過ごす。話させるための質問攻めにはしません。
途中で助言しすぎたと気づいたら、「先に答えを言っちゃったね。どこまで話していた?」と戻ることもできます。一度の会話を完璧にするより、行き違いに気づいたときに修正できる関係を大切にしたいものです。
聞くことは、本人の言葉を増やす余白
大人が黙っていればよい、助言してはいけない、という話ではありません。まず受け止め、分からないところを確かめ、必要な助けを一緒に考える。その順番を意識すると、大人の正解だけで会話が終わるのを避けられます。
取り組んだ経験を本人の言葉にする方法は、「できた・困った・次に試す」を言葉にする振り返りでも紹介しています。宿題への拒否感が入口なら、「やりたくない」と言われたときに確かめることから、状況を分けて見てみてください。
放課後の関わりを知る
答えの前に、考えていることを聞く
ガクモンは、子どもが自分で考え、伝え、試す過程を大切にしています。日々の活動をどう支えるか、施設の方針をご紹介しています。
「みんな」「全然」は、そのときの強い気持ちを含んだ言葉かもしれません。すぐに「そんなことはない」と訂正するのでも、相手が悪いと決めるのでもなく、一つの場面を聞いてみます。
たとえば「遊びを決めるとき、自分が言い終わる前に別の案になった」。場面が少し見えてくると、大人の想像と子どもの経験を分けて考えられます。細かな順番を全部聞き出す必要はありません。