子どもの「できる」を、急がせない。
子どもの成長思考を育むには。
「頑張ったね」の先でできること
ほめ方だけに頼らず、
試す方法と、手伝えることを考える。

子どもが一生懸命取り組んでいる姿を見ると、「頑張ったね」と声をかけたくなります。結果だけでなく、そこまでの時間も大切にしたい。そんな思いがこもった言葉ですね。
一方で、何度やってもうまくいかないときに、同じ励ましを続けるだけでは、本人が次に何をすればよいか分からないこともあります。「もっと頑張ればできる」と言われて、すでに頑張っている子が困ってしまう場面もあるでしょう。
成長思考、あるいはグロースマインドセットという言葉を、子どもに努力を求めるためではなく、大人が学びへの関わり方を見直すきっかけにしてみませんか。この記事では、日々の小さな場面から考えていきます。
今できないことが、この先もできないとは限らない。
成長思考は、
成功を約束する言葉ではありません。
成長思考は、能力を今の状態だけで決めつけず、学びや練習、工夫によって伸ばしていけると捉える考え方です。ただし、「努力すれば誰でも同じ結果になる」「前向きに考えれば点数が上がる」という意味ではありません。
学びには、これまでに身につけた知識、課題の難しさ、説明の分かりやすさ、使える道具、周囲の支えなども関わります。困っている理由を、本人の考え方や意欲だけに求めないことが大切です。
子どもを分類するためではなく。
「この子は成長思考がない」と決めつけると、また別の評価が増えてしまいます。得意な遊びでは試せても、初めての学習では不安になることもあります。その日の場面を見て、必要な支えを考えましょう。
結果を無視するためでもなく。
本人が点数や完成したものを喜んだら、一緒に喜んでよいのです。望んだ結果に届かず悔しいときも、その気持ちを認めます。結果だけで、その子の価値や可能性のすべてを決めないという視点です。
私たちが日常で大切にしたいのは、「今のやり方で難しいなら、ほかに何ができるだろう」と一緒に考えられること。本人に変わるよう求めるだけでなく、教え方や環境を変える余地を大人の側にも残しておきたいですね。

「すごい」と感じたのは、どんなところ?
頑張った量だけでなく、
何を試したかを見てみる。
たとえば、紙の橋を作っている場面。何度も作り直したことに加えて、折り方を変えた、支えの位置を動かした、前の形と比べたという行動が見えるかもしれません。
「何回も頑張ったね」だけでなく、「さっきとは折り方を変えていたね」と、実際に見たことを返してみます。本人が話したそうなら、「どうしてそうしてみたの?」と聞くこともできます。
大人が考えた立派な理由に合わせる必要はありません。「なんとなく」「こっちの形が好きだから」という答えも、その子の考えです。話を聞いてから、確かめられそうなことを一緒に探します。
努力をほめる言い方に置き換えさえすればよい、というわけではありません。子どもの取り組みをよく見て、具体的な行動や選択に関心を向ける。そのための会話と考えてみましょう。
声かけを、評価から対話へ。
短い言葉のあとに、
本人が話せる余地を残す。
次の声かけは一例です。同じ言葉でも、その日の様子によって受け止め方は変わります。表情や様子を見ながら、話したくないときには質問を重ねずに待ちます。
「さっきとは、ここを変えたんだね」
良いか悪いかを先に決めず、変えたところを一緒に見る。本人が話したら、その考えを聞きます。
「どこから分からなくなった?」
言葉にしにくければ、指さしや途中のものを見せてもらう方法も。分からない理由を問い詰めないようにします。
「そこを一緒に見てほしいんだね」
頼れたことを受け止め、何を手伝うか確認する。助けを借りながら進めることも、大切な取り組みです。
「今は、少し離れてみようか」
休むことも提案する。休んだ後に何をするかは、落ち着いてから考えてもよいでしょう。
いつも丁寧に聞ける日ばかりではありません。強く言ってしまったら、「さっきは急がせたね。困っているところを聞かせて」と、会話をやり直すこともできます。親も完璧に関わらなければ、と抱え込まなくて大丈夫です。
気持ちを変える前に、変えられるもの。
一人で頑張る力だけを、
求めなくても。
宿題に取りかかれないとき、理由は一つとは限りません。問題文の言葉が分からないのか、最初に何をするか決められないのか、量が多く見えているのか。本人と一緒に確かめると、支え方も変わります。
説明を一文ずつ読む、最初の一問を一緒に見る、道具を手の届くところに置く。必要な部分だけを手伝い、本人ができそうなところを相談します。大人が全部終わらせることと、一切手を貸さないことの間にも、いくつもの方法があります。
「自分でできる」は、「誰にも頼らない」と同じではありません。どこで困っているかを伝えること、説明をもう一度お願いすることも、学びを進めるための行動です。
手助けをどこまでにするかは、課題やその日の状態によって変わります。昨日一人でできたからといって、今日も同じように進むとは限りません。必要な支えを戻したり減らしたりしながら、その都度考えていきましょう。


挑戦しない時間も、大切に。
難しい方を選び続けることが、
成長ではありません。
簡単な遊びを楽しむ日、慣れた本を読む日、何も完成させずに過ごす時間があってもよいでしょう。いつも少し難しい課題を選ばせたり、何かを学び取らせたりする必要はありません。
新しいことに挑戦したい気持ちと、今は安心できることをしたい気持ち。その両方を聞きながら、今できそうなことを一緒に考えます。「まだできないだけ」と励ます言葉も、本人が疲れていたり悔しがっていたりするときには、無理にかけないほうがよい場合もあります。
提出期限のある宿題などは、休めばすべて終わりというわけにはいかないこともあります。どこで困ったか、どこまで進んだかを整理し、必要なら学校に相談します。長く困り続ける状況を、家庭の声かけだけで解決しようとしないことも大切です。
励ましを受け取りにくいときには、「どうせできない」と言う子への関わりも参考に、本人が難しいと感じている部分から聞いてみてください。
振り返るときは、点数以外の記録も。
前と変わったところにも、目を向ける。
前より点数が上がった、作品が完成した。その変化はもちろん嬉しいものです。一方、結果が同じでも、分からないところを自分から聞けた、別のやり方を一つ試した、準備する道具を確かめたという変化があるかもしれません。
毎日記録をつけたり、良いところを必ず見つけたりしなくても構いません。本人が話してくれたときに、「前はここで迷っていたね。今日はどうしたの?」と一緒に振り返るくらいから始められます。
大人に評価してもらうための振り返りにならないよう、何を面白いと思ったか、次は何を試したいかも本人に聞いてみましょう。すぐに次の目標が出なくても、その日に経験したことは残っています。
家庭の外にも、考えを聞いてくれる大人を。
放課後を選ぶときには、
つまずいた場面の関わりも。
新しい習い事や活動があることに加えて、うまくいかないときに誰へ相談できるか。放課後の居場所を見るときには、そこも確かめてみませんか。
ガクモンでは、自分で考え、言葉にし、試したことを次の行動につなげる経験を大切にしています。活動の目的を一緒に確かめたり、困っている部分を整理したりするスタッフの関わりも、その一部です。
見学では、お子さまが普段どんなところで止まりやすいか、どのような手助けがあると取り組みやすいかをお聞かせください。日々の過ごし方や、校舎で対応できる範囲を一緒に確認します。成長の速さや学業成績をお約束するものではありません。
構成・編集:ガクモン編集部。2026年9月30日、本文を全面的に見直しました。イラストの人物・場所は説明用の創作例です。実際の利用者や校舎を表していません。