役割を選んだあとも、そばで支える。
子どもが役割を
選ぶ活動を、
大人はどう支える?
自分で考える余地と、
困ったときに相談できる安心を。

みんなで何かをつくるとき、「絵を描きたい」「並べる係がいい」と、子どもから声が上がることがあります。自分で選んだ役割だからこそ、やってみたい気持ちを大切にしたい。一方で、決めた後に困ったり、友だちと希望が重なったりすることもあるでしょう。
そこで大人が全部を決めてしまうと、活動は早く進むかもしれません。でも、子どもが考える余地は小さくなります。反対に、「自分で決めたのだから」と任せきりにすれば、何をしたらよいか分からないままになってしまうこともあります。
ガクモンが大切にしているのは、活動の目的を確かめ、自分で考え、言葉にし、試した経験を振り返ることです。この考え方を「役割を選ぶ場面」に重ねると、どのような関わりが考えられるでしょうか。
以下の制作場面とイラストは、関わり方を考えるための創作例です。特定の校舎で実施した活動や、すべての活動で共通する役割決めの手順を紹介するものではありません。
役割の前に、確かめたいこと
「何のためにするのか」を、一緒に確かめる。
たとえば、身近な葉っぱを描いた紙を、みんなで一枚の展示にまとめる場面を考えてみます。先に「描く人」「並べる人」と分けるより、「見た人に、葉っぱのどんな面白さが伝わるといいかな」と、活動の目的を話してみる。そのうえで、必要な仕事を子どもと探します。
色の違いを伝えたいなら、似た色を並べる方法もあるでしょう。形の違いを見せたいなら、大小を比べられる配置も考えられます。目的が分かると、割り当てられた作業をこなすだけでなく、自分なりに工夫することもできます。
子どもが考えること
何を伝えたいか。そのために、自分はどこに関わってみたいか。
大人が支えること
活動の目的や時間、安全上の範囲を、分かる言葉で確かめること。
子どもに任せることと、安全の責任を負わせることは違います。使える道具や行ってよい作業の範囲など、大人が判断すべきことは、選択の前に整理しておく必要があります。

選ぶとき
すぐに決められなくても、大丈夫。
「好きな役割を選んで」と言われても、その仕事がどのようなものか分からなければ、選びにくいことがあります。「紙を並べる」「できたものを紹介する」と、実際の行動が浮かぶ言い方にしてみる。実際に作業する様子を見ることも、選ぶための手がかりになります。
「得意なことは何?」だけでなく、「少しやってみたいところはある?」と聞くこともできます。得意な役割を続ける安心感も、まだ慣れていない役割への興味も、どちらも大切にしたいからです。
ただし、必ずその場で選ばせる必要はありません。まず友だちの様子を見たい子や、大人と一緒なら始められそうな子もいます。活動の条件に応じて、一部の作業から参加できないかを考えます。
取り組んでいるとき
代わりに仕上げる前に、何に迷っているかを聞く。

紙を並べる役割を選んだ子が、途中で手を止めたとします。大人がきれいに並べ直せば展示は完成しますが、まずは「何を決めるところで迷っている?」と聞いてみる。「色をそろえるか、大きさをそろえるかで迷っている」と分かれば、考える対象がはっきりします。
確かめる「どこまでは決まった?」
比べる「二つの並べ方で、見え方はどう違う?」
次を選ぶ「まず、どちらを試してみようか?」
声をかければ必ず自分で進められる、というわけではありません。説明が多すぎてかえって分かりにくくなるときは、作業を一つずつに分ける。疲れているときは、無理に続ける前に状態を確かめる。任せる範囲は、子どもの様子と活動の条件に合わせて考えるものです。
途中で別の役割に変えたくなったときも、すぐに「最後までやりなさい」と結論を出す前に理由を聞きます。難しさなのか、思っていた仕事と違ったのか。周りの子への影響も確かめながら、続け方を相談する経験にできます。
終わったあと
できばえだけでなく、選んだことを振り返る。
活動が終わったら、「上手にできたね」だけではなく、「どんな並べ方を試した?」「友だちの話を聞いて変えたところはある?」と、途中の経験を言葉にすることができます。結果が整っていなくても、自分で決めたことや、相談できたことは振り返る手がかりになります。
「次は紹介する役をやってみたい」という気持ちが出るかもしれませんし、「同じ役を、もう少し工夫したい」という答えもあるでしょう。次の挑戦を大人が先に決めず、本人の感じたことを聞く余地を残したいところです。
一回の役割経験だけで、責任感や主体性が身についたと判断することはできません。日々の活動で、考える、相談する、試す機会を重ねる。その過程を大切にする考え方です。

ガクモンを見学するときに
「何をするか」と一緒に、関わり方も。
ガクモンは、日々の活動を通して、自分で考え、伝え、試す経験を大切にしています。見学では、活動名だけでなく、子どもが選べる部分や、困ったときのスタッフの関わりもお尋ねください。
- 活動の目的は、子どもにどのように伝えていますか。
- 希望が重なったり、途中で困ったりしたときは、どう関わりますか。
- 初めての子や、すぐに輪へ入るのが難しい子には、どのように参加を手助けしますか。
実際の活動や関わりは、校舎、子どもの状況、実施内容によって異なります。お子さまが今どのような場面で迷いやすいかをお伝えいただくと、ご家庭の希望と照らし合わせて確認しやすくなります。