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「読まなくちゃ」から、少し離れて。

読書を勉強にしすぎない。
本との出会いを増やす工夫

開きたい一冊と、また戻れる場所。
暮らしの中に、本との出会いを。

図書館の低い本棚で自分の本を選ぶ子どもと、隣で本を開く父親のイメージ

本を好きになってほしくて、よさそうな本を選んで置いておく。でも、子どもはなかなか開かない。「少し読んでみたら」「何が書いてあった?」と声をかけるうちに、読書がもう一つの課題のようになっていないか、気になることがあります。

学校の音読や読書の課題には、それぞれのねらいがあります。一方で、気になるページを開いたり、同じ物語に何度も戻ったりする時間もあってよいはずです。

読む力を育てたいという大人の願いと、今この本を開きたいという子どもの気持ち。その両方を大切にするために、まずは本と出会う入口から考えてみましょう。

星空・植物と昆虫・山を描いた本から、子どもが一冊を選ぶイメージ

最初の一冊は、今の興味から

「読むべき本」の前に、「開きたい本」を

物語をじっくり読むことだけが、本の楽しみ方ではありません。好きな生き物の写真を眺める。料理の作り方を見る。気になる乗り物のページだけ開く。今の関心とつながる場所から入ることもできます。

大人が選んだ本を勧めるときは、理由を一つ添えてみます。「この前見た虫が載っていたよ」「好きな遊びに似た話かもしれないね」。読ませるための説得ではなく、出会いを手伝う紹介です。

子どもが別の本を選んだら、どこにひかれたのかを知る機会にもなります。表紙が好き、絵が面白い、友だちが読んでいた。その理由から、次の本を探す手掛かりが見つかるかもしれません。

親子で探す、三つの入口

今の「気になる」に、本をつないでみる

下の例は本のジャンルを選ぶヒントです。全部そろえる必要はありません。今、子どもが話していることから一つ選んでみます。

見たものから

「あれ、何だった?」

散歩で見た虫や、空の雲。写真や図がある本を開いて、見たものを探す。

やってみたいことから

「どうやるの?」

工作、料理、遊びの工夫。手順を眺め、できそうなところを親子で選ぶ。

気持ちや物語から

「この先、どうなる?」

登場人物や絵の雰囲気にひかれた一冊。先が気になるところまで、一緒に開く。

図書館や書店では、好きなものだけでなく、読みやすかった本や途中でやめた本のことも伝えると、相談の入口になります。本を借りる条件や利用方法は、その施設の案内をご確認ください。

選ぶ自由と、選べるようにする手助け

「好きな本を選んでいいよ」と言われても、本がたくさんある場所では迷うことがあります。まずは二、三冊を並べ、表紙や中の絵を一緒に見てみる方法もあります。選択肢を少なくするのは、大人の好みに絞り込むためではなく、比べやすくするためです。

文字の大きさ、一ページの文章の量、絵や写真の入り方も見てみましょう。興味はあっても一人では読みにくい本なら、大人と分けて読む選択もあります。学年の表示だけで、合う・合わないを決めなくてもよいのです。

漫画や図鑑ばかり選ぶことが気になるときにも、それを取り上げて別の本へ移すより、何を楽しんでいるのかを聞いてみます。好きなテーマから、物語や説明の本へつながることもありますし、今は同じ本を楽しむ時期かもしれません。

一人で読めても、一緒に読んでいい

読み終えたあとの質問より、読んでいる時間を

子どもが字を読めるようになると、「もう自分で読めるでしょう」と思うことがあります。でも、大人が読む声を聞いたり、交代で読んだりする楽しみは、一人で読むことと別に残しておけます。

長い時間を用意できない日には、気になった一ページを見るだけでも構いません。大人が全部を読み聞かせなくても、絵を見ながら「この場面、面白いね」と話す時間があります。

読み終えるたびに内容を説明してもらわなくても、その時間はなくなりません。子どもが話し始めたら聞く。大人の好きだったところを一つ話す。会話が広がらない日は、そのまま本を閉じてもよいのです。

ソファに並んだ親子が同じ本を開き、絵を見ながら話すイメージ
話が出てきたら

「そこが気になったんだね」

正しい感想かどうかより、本人が見ていたところを聞く。
静かに読みたい日は

言葉を求めず、そばで読む。

読書の楽しみを、毎回説明してもらう必要はない。

途中でやめることと、本を嫌いになることは別

借りた本を最後まで読まずに返すと、もったいなく感じるかもしれません。けれど、思っていた話と違った、今は難しかった、別の本が気になったなど、途中で手が離れる理由はいろいろあります。

自分で選ぶ読書なら、しおりを挟んで置いておいたり、別の一冊を開いたりしても構いません。同じ本に何度戻っても、一冊だけを長く楽しんでもよいでしょう。冊数やページ数だけでは見えない関わり方があります。

ただし、学校から出ている課題を終えるかどうかは、別の話です。課題の範囲や提出方法を確かめ、難しい場合は学校に相談します。「自由に楽しむ本」と「取り組む必要がある課題」を分けて考えると、家庭での声かけも整理しやすくなります。

しおりを挟んだ本を、窓際のテーブルと低いかごに置いたイメージ

読書のために、暮らしを全部変えなくても

また開ける場所を、一か所つくる

本棚にきれいに収まっている本も、背表紙だけでは目に入りにくいことがあります。今読んでいる一冊を、子どもが手に取れる場所へ。浅いかごに数冊置く、表紙が見える向きにするなど、小さな工夫から始められます。

通路をふさいだり、食事のたびに困ったりしない場所を親子で選びます。借りた本は家庭の本と分け、返却日を大人も確認しておきましょう。管理を子ども一人の責任にする必要はありません。

本を読む時間が取れなかった日を、失敗として数えなくても大丈夫です。遊びたい日、疲れた日、何も決めずに過ごしたい日もあります。また開きたくなったときに戻れることを大切にします。

読むことそのものがつらそうなときは

興味のある本でも強く嫌がる、文字を追うことに疲れる、音読だけが特につらそうなど、気になる様子が続くときは、「好きな本がまだないだけ」と決めつけず、学校の先生に状況を伝えてください。本の内容、読み方、読んでいた時間など、分かる範囲で共有できます。

ここで紹介した工夫は、読むことの困難さを診断したり、解決を保証したりするものではありません。本人のしんどさを確かめ、必要に応じて相談しながら、楽しめる関わり方を探していきます。

日々の体験と、本の世界を行き来する

放課後にも、興味が広がる入口を

本で見たことが遊びにつながり、活動で気になったことが次の一冊につながる。読むことを単独の課題にするだけでなく、日々の経験と行き来するものとして考えてみませんか。

宿題のあとの時間を考えたい方は、追加学習と自由時間の選び方へ。子どもの関心を会話から探す視点は、「これ、やってみたい」を見つける親子の会話でも紹介しています。

ガクモンの見学では、学習支援だけでなく、活動や自由時間の過ごし方もご確認ください。本との関わりについて気になることがあれば、お子さまの今の様子をお聞かせください。蔵書や持参本の扱い、対応できる範囲は、各校舎へ個別にご相談いただけます。

構成・編集:ガクモン編集部。会話や本選びの場面は説明用の例です。挿絵の人物・本・空間は本記事用に制作したイメージで、実際の蔵書や設備を示すものではありません。