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書く前の、小さな編集室。

作文の前に、伝えたいことを見つける

書き出しに迷ったら、
言葉を集めるところから。

出来事のメモを選びながら、書きたいことを保護者に話す子どものイメージ

原稿用紙を前にして、「何を書けばいいの?」。鉛筆を持ったまま止まっている子どもを見ると、「昨日、楽しいことがあったでしょう」と声をかけたくなります。それでも書き始められないと、こちらまで困ってしまうことがあります。

そんなとき、最初の一文を一緒に考えるより、少し手前に戻ってみる方法があります。書くための言葉を、いきなり文章にせず集めてみる。何があったのか。その中で何が気になったのか。誰に何を伝えたいのか。一つずつ、形にしていきます。

作文は、特別な体験がある日だけに書けるものではありません。いつもの道で見つけたもの、友だちのひと言、初めて自分でできたこと。小さな出来事の中にも、その子だけの視点が残っています。

書くことは、足元にも。

大きな出来事より、
自分が立ち止まった場面。

「どこかへ出かけないと、書くことがない」。そう感じているなら、今日の中で少し驚いたことや、いつもと違ったことを思い出してみます。面白かったことに限らず、不思議だったこと、思ったようにいかなかったことも題材の候補になります。

「今日、何があった?」では広すぎるときは、「帰り道で足を止めたところはあった?」「休み時間は何をしていた?」など、場面を小さくして聞いてみます。大人が期待する出来事へ誘導するのではなく、子どもが話し始めたところを手がかりにします。

ただし、話したくない経験まで作文の材料として聞き出す必要はありません。書く内容は本人と相談して選び、学校から題材の指定がある場合は、その条件を先に確認しておきます。

雨上がりの庭で、葉の上のカタツムリをそっと観察する子どものイメージ
立ち止まって見た、その時間も題材の入口。

まだ、きれいな文にしなくていい。

出来事と、自分の気づきを
別々のメモにする。

話した言葉を、そのまま短く置いてみます。絵でも、単語でもかまいません。大人が書き留める場合も、「こういうことかな」と確かめ、本人の言い方を勝手に立派な表現へ変えないようにします。

見たこと

雨がやんだあと、
葉にカタツムリがいた

いつ・どこで・何があったか。

気づいたこと

待っていると、
少しずつ進んだ

その場で自分が見た変化。

思ったこと

ゆっくりでも、
動いているんだ

見たことから自分が考えたこと。

出来事だけを並べると、何に心が動いたのかが見えにくいことがあります。「楽しかった」で終わったら、「どの場面が残っている?」と尋ねてみる。気持ちの名前を増やそうとするより、その気持ちにつながった場面を探します。

例文とメモは、この記事のために作ったものです。実際の子どもの作文や、授業で使用する教材の転載ではありません。

たくさん集めた、そのあとで。

全部を書くより、
いちばん残したいことを選ぶ。

朝から寝るまでの出来事を全部入れようとすると、一つひとつの場面が短くなってしまいます。集めたメモを見て、「これだけは読んだ人に知ってほしい」と思うものを選んでみます。それが、伝えたい中心になります。

本人に返したい問い

「この話の、どこを
いちばん聞いてほしい?」

カタツムリを見つけたことより、しばらく待つと動いたことが気になったのかもしれません。その場合は、見つけるまでの長い説明より、待っていたときの様子を詳しく書く方法があります。

大人には意外なところが選ばれることもあります。「もっといい話があるでしょう」と変えず、まず理由を聞いてみます。書く中心を本人が選ぶことと、読み手に伝わるよう手伝うことは、分けて考えたいところです。

雨、葉、カタツムリ、観察の絵を描いたメモを、ノートの横で並べる手元のイメージ
メモなら、書き直さずに順番を試せる。

読み手が、ついてこられる順番へ。

メモを並べて、
一度、話してみる。

中心が決まったら、初めて聞く人にも場面が分かる順番を考えます。出来事の順に並べるのも一つの方法です。最初にいちばん伝えたいことを置き、あとから説明する方法もあります。いつも同じ型でなければいけない、ということではありません。

書き出す前に、並べたメモを見ながら短く話してもらうと、足りない情報に気づくことがあります。「誰といたの?」「どこで見ていたの?」。聞き手として分からなかったところを伝え、何を足すかは一緒に考えます。

  1. 場面を置く雨がやんだあと、庭に出ました。
  2. 中心を詳しくする葉の上のカタツムリを見ていました。待っていると、少しずつ進みました。
  3. 自分の気づきを添える止まっているように見えても、ゆっくり動いているのだと思いました。

長くするために言葉を足すのではなく、伝えたい場面に必要なことを足します。上の文を写すためではなく、自分のメモならどうつながるかを考える見本として使ってみてください。

大人の文章に、仕上げすぎない。

話を聞いていると、先に文章が浮かんでくることがあります。でも、大人が整えた文を子どもが書き写すだけでは、何を伝えるか選ぶ時間が短くなってしまいます。「こう書きなさい」の前に、「今の言葉を、そのまま書くとどうなるかな」と返してみます。

内容が浮かばないとき
具体的な場面を一緒に思い出す。大人が出来事を作らない。
話せるけれど書き出せないとき
話した言葉を短いメモにする。必要な手助けは本人と相談する。
順番に迷うとき
メモを動かして話し直す。大人が先に結論を決めない。

何も手伝わないことが、自分で書くことを支えるとは限りません。考えるところ、文字にするところ、読み返すところ。どこで止まっているのかを分けると、必要な手助けも見つけやすくなります。

書き終えたら、読み手に戻る。

直すところを探す前に、
伝わったところを確かめる。

できあがった文章を読んだら、最初に「ここで何を見ていたのか、分かったよ」など、届いたことを伝えてみます。そのあとで、説明が足りないところや、同じ言葉が重なっているところを一緒に見直します。

声に出して読むと、文が長くて息が続かないところや、誰のことか分かりにくいところに気づくかもしれません。読み返しのときも、一度に全部を直そうとせず、今日は一文を分けるなど、取り組むところを絞る方法があります。

誤字だけを数えて終わらず、「自分が伝えたかったことは入っている?」と本人に返す。書き直すことを、失敗の印ではなく、伝わり方を考え直す時間にしていきたいと思います。

書いたノートを読み返し、一文を確かめる子どもと見守る大人のイメージ
読み手になって、自分の言葉を確かめる。

作文の経験を、放課後にも。

「何文字書いたか」のほかに、
書くまでの時間も見てみる。

ガクモンの作文教室では、題材を見つけ、考えを整理し、文章にして読み直す取り組みを大切にしています。見たこと・感じたことを材料に、自分が伝えたい中心や、相手が追いやすい順番を考えます。

相談の際は、「話すといろいろ出てくるけれど、紙の前では止まる」「書き始められるが、何を残すか迷う」など、普段の様子をお聞かせください。教材、対象学年、開講校舎、曜日、費用や進め方は各校舎へご確認ください。この記事の例と同じ課題を実施することや、特定の成績向上を保証するものではありません。