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声に出す、相手に届く。

音読は速く読む練習だけ?聞き手に伝える工夫

一文の中に、
いろいろな読み方がある。

本を声に出して読む女の子と、隣でゆっくり聞く保護者のイメージ

「今日の音読、聞いて」。子どもが教科書を開いたとき、夕食の準備や明日の支度が気になり、つい「もう少し早く読める?」と言いたくなることはありませんか。最後まで読めたか、間違えなかったか。毎日聞いていると、確かめるところがそこに集まりがちです。

すらすら読めることは、うれしい変化の一つです。ただ、音読の面白さは、読み終わるまでの時間だけでは表せません。どこで言葉を区切るか。どんな場面を思い浮かべているか。聞いている人に、何を届けたいか。同じ文章でも、読み方を考える余地があります。

今回は、音読の時間を速さの確認だけで終えず、言葉を一緒に味わうための工夫を紹介します。すべてを一度に試す必要はありません。今日の一文を、いつもと少し違うところから聞いてみる。そのくらいの入口です。

まずは、文をほどく。

言葉の途中より、
意味のまとまりを見てみる。

声に出すと途中で止まってしまう。そんなとき、「もっとなめらかに」と繰り返す前に、どの言葉を読んでいるのか一緒に確かめてみます。読みに迷う漢字があるのか、次の行を見失ったのか。意味を知らない言葉があったのかもしれません。

一文が長く感じられるなら、指で今読む場所をたどる、短いまとまりずつ交代で読む、といった方法もあります。大人が先に全部読んでしまうのではなく、「ここまで一緒に読む?」と、本人が使いたい助け方を聞いてみます。

本の一行を指でたどり、言葉を確かめる小学生のイメージ
読む場所を確かめながら、自分のペースで。

一文を、声にしてみる。

どこで、ひと息置こう?

夕方、庭のすみで小さな花を見つけました。

夕方、庭のすみで小さな花を見つけました。

色のついたまとまりごとに区切って読むと、どこで何を見つけたのか、確かめやすくなるでしょうか。今度は、いくつかをつなげて読んでみてもよさそうです。

この区切りが唯一の正解ということではありません。読点の位置を確かめながら、「ここで止めると、どう聞こえる?」と試すための例です。文の意味が切れてしまう場所はないか、自分の声を聞きながら考えます。

本文の例文は、この記事のために作ったものです。学校や音読教室の実際の教材・指導手順を示すものではありません。

声の前に、場面がある。

同じひと言でも、
誰が、どこで話している?

読み方を工夫するというと、大きな声で演じることを思い浮かべるかもしれません。でも、その前にできることがあります。誰が話しているのか。相手は近くにいるのか。急いでいるのか。それを文章の中の言葉から探してみます。

「ここで待っていてね。」

近くの相手に、安心してほしいとき

落ち着いた声で、ゆっくり伝えてみる。聞いている人は、どんな表情を思い浮かべるでしょう。

少し離れた相手に、呼びかけるとき

相手に届く声を考えてみる。ただ叫ぶのではなく、言葉の終わりまで聞こえるかも確かめます。

これも、同じひと言を違う設定で読むための例です。実際の物語では、前後の文章に合うかを確かめます。「悲しそうに読んで」と大人の答えを先に置くより、「どの言葉から、そう思った?」と、子どもが見つけた手がかりを聞いてみたいところです。

机を囲み、一人が本を読み、もう一人が聞いている子どもたちのイメージ
読み方の違いを、一緒に確かめる時間。

変えてみるのは、
一か所だけでもいい。

声の大きさ、読む速さ、間の取り方。全部を同時に直そうとすると、文章を楽しむ余裕がなくなってしまうこともあります。今日は「最後のひと言だけ、少し間を置く」など、一つに絞ってみます。

大人と交代して読むのも一つの方法です。大人の読み方を正解としてまねさせるのではなく、「私はこんなふうに読んでみた。どう聞こえた?」と尋ねます。子どもが聞き手になることで、伝わり方について話す入口が生まれるかもしれません。

本人が今の読み方を気に入っているなら、その理由を聞くところで終えてもかまいません。毎回、違う読み方に変えることが目的ではありません。

聞く側にも、できること。

「上手だった」の、その先を
ひと言だけ伝える。

読み終わったあと、「上手だったね」と伝えたくなることがあります。その言葉に加えて、聞いていた自分に何が届いたかを返してみませんか。「花を見つけたときの、うれしそうな感じがした」「少し止まったところで、次は何かなと思った」。短い感想で十分です。

子どもには「どこを工夫した?」と聞くこともできます。ただ、すぐに説明できなくても、工夫していないとは限りません。「ここをもう一度聞きたいな」と一緒に確かめたり、「今日はここが聞きやすかったよ」と大人の気づきだけを伝えたりしてもよいでしょう。

読んだ本を挟んで、感想を話す子どもと保護者のイメージ
採点よりも、届いた場面を分け合う。
聞き取れなかったとき
「最後のところ、もう一度聞かせてもらえる?」
場面が浮かんだとき
「今のところ、そっと話している感じがしたよ」
本人の工夫を知りたいとき
「さっきと読み方を変えたところはあった?」

毎日の宿題を、
毎日の発表会にしなくても。

疲れている日も、早く遊びたい日もあります。学校から出ている課題の範囲を確かめたうえで、家でさらに工夫の練習を重ねるかどうかは、その日の様子を見て考えたいものです。読み終えたら、今日はそれで一区切り。そんな日があってもよいのではないでしょうか。

読み間違いに気づいたら、そのつど途中で遮るより、短いまとまりのあとで「ここを一緒に確認しよう」と声をかける方法もあります。課題で求められている読み方が分からないときや、読むことへの負担が続くときは、家庭の様子を担任などに伝えて相談してみてください。

速く読める子を基準にせず、前に比べてどこを確かめられるようになったかを見る。音読の時間を、間違いを探される時間だけにしないことも大切にしたいと思います。

音読の経験を、放課後にも。

講座を選ぶときは、
読む途中への関わりも聞いてみる。

ガクモンの音読教室では、文章を声に出して読み、場面や区切りを考え、相手に伝わる読み方を工夫することを大切にしています。本が好きという入口も、落ち着いて文章を読みたいという入口もあります。

講座が気になる場合は、教材名だけでなく、読むことに時間がかかるときの進め方、聞き手になる機会、どんなふうに振り返るかなども確かめてみてください。対象学年・開講校舎・曜日・費用・使用教材は、各校舎へ確認してからご検討ください。

自分の言葉を文章にするときは、作文の前に、伝えたいことを見つけるもご覧ください。書く前の材料集めから、声に出して読み返すところまでを紹介します。